Monday, May 21, 2007
WTO/FTAへのアジア民衆の共同行動に必要性を確認 京都ADB対抗市民フォーラムワークショップで
アジア開発銀行(ADB)京都総会にあわせ開催したNGO/市民運動による「市民フォーラム」で、脱WTO/FTA草の根キャンペーンは「関西よつ葉連絡会」、「地域・アソシエーション研究所」と共催で5月5日、「WTO/FTA下のアジアの経済と人びとの暮らし-農業・農村を中心に-をテーマにワークショップを持ちました。
ワークショップでは、脱WTO/FTA草の根キャンペーンの大野和興が問題提起をした後、海外からのスピーカーとしてフォーカス・オン・ザ・グローバル・サウスのジョゼフ・プルガナンさん、アジア太平洋食糧主権ネットワークのアリス・レイムンドさん、また日本からは日本消費者連盟の山浦泰明さんがグローバル化のもとで日本の農業がどうなったかを報告しました。
また、最近合意に達した韓米FTAの問題点と今後の運動について韓国・韓米FTA阻止汎国民運動本部のキムさんから特別報告受けました。
討論では地域・アソシエーション研究所の山口協さんとATTACジャパンの秋本陽子さんの課題提起を受け、グローバル化と地域、バイオ燃料と食料・環境問題などを含む幅広い問題が話し合われ、WTO/FTA、ADBが進める開発に対するアジアにおける共同の運動の必要性が確認されました。
ワークショップのコーディネーターは市村忠文(フォーラム平和・人権・環境)さんと津林邦夫(地域・アソシエーション研究所)さんがつとめました。
このワークショップについて、フォーカス・オンゼ・グローバルサウスのホームページが5月6日付で報告してますので、以下それを紹介します。
2007年5月6日(日)
本日、「ADB京都総会・市民フォーラム」では、WTO/FTAに関する一連の論議が行われた。経済的な主権こそ、その根幹をなす主張だったと言えよう。
WTO/FTA問題に取り組むフィリピン、日本、韓国の活動家たちは、WTOドーハ・ラウンド交渉のみならず、アジアにおける二国間ないし地域的な自由貿易協定に関する最新情報を共有するとともに、そうした交渉を頓挫させるべく闘いを強化すると誓った。
フォーカス・オン・ザ・グローバル・サウスのジョゼフ・プルガナンは、次のように述べた。
「ドーハ・ラウンド交渉は、開発という課題への取り組みを目的としながら、開発という点で貧困諸国が最も関心を持っている貧困や不平等、飢餓、失業、あるいは、民衆が水や衛生といった社会サービスに与る機会が極めて少ないなど、そうした広範な問題については等閑視を決め込む一方、農産物や海産物、工業製品に関する関税削減や補助金の許容範囲をめぐる数値に、ますます取り憑かれている。」
プルガナンは、こうした野心的な自由化の追求によって、農産物や海産物、工業製品に関する関税率はさらに削減されるだろう、と警鐘を鳴らした。その行き着く先は、アジアにおける収益と失業の際限のない二極化である。まさに、今回議論された最も重大な問題の一つこそ、多国間ないし二国間の自由貿易協定、さらにADBのような国際金融機関の政策と計画によって、いかに農業が損なわれているか、アジアにおける食糧主権がいかに蝕まれているか、ということであった。
「貿易の自由化よって、フィリピンなどの国々では、自国の人々が必要とするものよりも、むしろ富裕な先進諸国の求めるものを生産するという状況にあります」。アジア太平洋食糧主権ネットワークのアリス・レイムンドは、そう嘆いた。
レイムンドは、その例証として、1990年代のフィリピンにおけるエビの養殖ブームを挙げた。エビの養殖は、日本における需要の高まりに応じて供給するために行われたものだ。
「主食となるべき農産物の生産が、輸出を目的とする高付加価値産品の生産へと転換しています。中国は現在、フィリピンとの二国間協定を通じて、バイオディーゼルの原料となるキャッサバやサトウキビの生産を増大するよう求めています」。レイムンドは、そう付け加えた。
アジア地域における貿易の自由化に向けた攻撃的な圧力がこれまで以上に強くなっていることは、多国間貿易交渉たるドーハ・ラウンドの妥結にむけた動きにおいてではなく、むしろ、近隣諸国で妥結されている二国間ないし地域的な貿易交渉たるFTA/EPAにおいて明らかである。
韓国と米国のFTAは、今年調印されたFTAの中でも、最も象徴的なものの一つである。韓米FTA阻止国民運動本部のキム・エファは、米国との調印が、「アジアにおけるさまざまなFTAの妥結に至る道を掃き清める」ことになりかねない、との憂慮を表明した。キムによれば、闘いはまだ終わっておらず、FTA協定が批准の過程に入りつつあるこの数ヶ月、韓国での反対運動は強まっている、という。
WTO/FTAに関する本日の集会は、反WTO/FTAを掲げるアジア全域にわたる多様な運動の間に、これまで以上に大きな共同の取り組みが必要であること、公正さと正義を欠いた貿易協定への対抗運動の強化、オルタナティブへ向けた働きかけの強化が必要であることを訴えて幕を閉じた。
(山口協訳)