Saturday, January 12, 2013

 

山形で「ストップ!!TPP山形県民アクション」立ち上がる

 山形で「ストップ!!TPP山形県民アクション」立ち上がる  総選挙が終わった直後の2012年12月、山形で「TPP交渉参加反対」を掲げて幅広い分野の人びとが集まる運動体が立ち上がった。「ストップ!!TPP山形県民アクション」だ。12月23日に寒河江市の文化センターで約200人が参加して立ち上げの集会が行われた。立ち上げ集会では田代洋一多妻女子大教授の記念講演の後、「私たちは、国民生活を守るために、地域医療、教育、食の安全と農林水産業、あらゆる労働者の賃金と労働条件を守るため、TPP参加に断固反対」し「新政権に対して反対の声をあげていく」との運動の基調を確認して幕を閉じた。  同山形県民アクションは、県内の農民グループと自治労、県教組、林野や全農林、水道や交通関係をはじめとする各労働組合、医療関係、各地区平和センターなどさまざまな分野の団体・個人で構成され、共同代表には山形県平和センターの岡田新一議長と置賜百姓交流会の菅野芳秀さん(TPPに反対する人々の運動共同代表)がついた。農民グループは置賜百姓交流会のほか山形県有機農業者協議会、庄内協同ファームが参加している。食の安全や消費者の領域では地域の生協も今後アクションの参加団体として加わる方向だ。  TPP反対運動はこれまでそれぞれのセクターや業種・業界ごとの縦割りの組織で動いてきている。首都圏ではそうした壁を超えた運動の場づくりが徐々には進んでいるが、力も小さく充分ではない。今回の山形における県民アクションの立ち上げは、地域からそうした運動の壁を突き破り、TPP反対運動のすそ野を広げる実践の第一歩といえる。参加団体は農民、教育関係者、自治体労働者、交通労働者、医療、生協などに大きく広がっている。この広がりももとに地域、生活、職場の足元から運動を積み上げる事が出来れば、TPP反対運動は質的にも量的にも大きく前進することになる。  山形県民アクションの事務局は県平和センター内に置かれる。今後幅広い団体・個人に参加を呼びかけながら、県・市町村議員、自治体、JAなどとも連携を取りながら運動を進める。また、同じ問題に直面してTPP反対の運動を進めている海外の市民・農民などとの連携も追及する。  TPP交渉参加を前のめりで進めてきていた野田政権から安倍自公政権へと政治体制が変わった。日米同盟強化を政権の目的に第一に置く現政権の下で、TPP参加は同盟強化の試金石とみなされている。いずれは安倍政権はTPP参加の方向に大きくカジをきることが予想できる。こうした政治の大きな構図に対抗するには、人びとのくらしの根っこのところから運動を積み上げ直すことが大切になる。全国各地の民民も参加しながら首都圏で生活協同組合や労働者、NGO・市民グループとつながってTPP反対で活動する市民グループ「TPPに反対する人々の運動」は、山形で立ちあがった県民アクションとつながりながら全国で同じような運動をつくりだす方向を目指して動こうとしている。

Sunday, June 10, 2012

 
■■■ ■ ジェーン・ケルシーさん来日記念 講演&シンポジウム   地域で、世界で、STOP TPP!!         ■   http://stoptppaction.blogspot.jp/        ■■■ TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への参加に関して、国内では与野党内で も、市民の間でも賛否それぞれの意見があります。農業・漁業、医療、食の安全、 医薬品、地域経済など、私たちの暮らしの隅々にまで影響を及ぼすTPP。なによ りも、交渉過程や日本政府の対応について説明や議論が不十分であるため、一般 市民は「TPPって何?」「判断できない」という状態です。野田首相が2011年11 月のAPECにて発言した「国民的議論の末に参加を決定する」という段階には到 底ありません。 そんな中、6月18~19日に行なわれるG20が新たな「参加表明Xデー」ではな いかとささやかれています。市民社会からの多様な声を無視し、じゅうぶんな議 論もないままに、国際会議の日程に沿ってTPP参加が決められてしまうのであ れば、それは主権者への裏切りであり、民主主義の危機に他なりません。 私たち「STOP TPP!! 市民アクション」は、「STOP TPP!! 6月緊急アクション」 の一環として、『異常な契約―TPPの仮面を剥ぐ』等の著者として日本でも知ら れるニュージーランドのジェーン・ケルシーさんを招き講演会とシンポジウムを 開催します。 「TPPって何?」「私たちの暮らしはどう変わるの?」と思っている方はもちろ ん、「自分も活動に参加しアクションしてみたい」という方もぜひご参加くださ い! ●日時:2012年6月21日(木)18:30~21:00(開場18:10) ●会場:日比谷図書文化館 B1F 大ホール     千代田区日比谷公園1番4号(旧・都立日比谷図書館)     http://hibiyal.jp/hibiya/access.html ■プログラム(予定) 【第1部】講演 「TPP交渉の現在と各国の思惑を読み解く」  ジェーン・ケルシーさん(ニュージーランド・オークランド大教授) 「米国の対アジア世界戦略とは?」  田代洋一さん(大妻女子大学教授) 【第2部】パネルディスカッション 「地域で、世界で、STOP TPP!!をどう進めるか」 ・ジェーン・ケルシーさん(ニュージーランド・オークランド大教授) ・田代洋一さん(大妻女子大学教授) ※お2人に加え、「STOP TPP!! 市民アクション」参加団体等からのパネリスト 3-4名を交えて議論します。 ※プロフィール <ジェーン・ケルシーさん> ニュージーランド・オークランド大学教授。法律・政治、国際的経済規制が専門。 新自由主義的なグローバル経済がも たらす負の側面へ警鐘を鳴らす。特に自由貿 易定に着目。アジア、南太平洋そして世界の研究者、NGO、労働組合と連 携し、 国際連帯運動に大きく寄与している。主書『異常な契約─TPP の仮面を剥ぐ』(農 文協)。 <田代洋一さん> 1943 年千葉県生まれ。大妻女子大学社会情報学部教授。1966 年、東京教育大学 文学部卒、農水省入省。1975 年横浜 国立大学経済学部助教授。同経済学部⻑等 を経て、2008 年度より現職。専門は農業政策、地域経済論。著書に『TPP 反対 の大義』(共著・農文協編)、『反 TPP の農業再建論』(筑波書房)等多数。 ●資料代:800円(逐次通訳あり) ※予約優先(定員200名) ●主催:STOP TPP!! 市民アクション ●お問合せ・お申込み STOP TPP!! 市民アクション 〒101-0063 東京都千代田区神田淡路町1-7-11東洋ビル3F アジア太平洋資料センター(PARC) 気付 TEL.03-5209-3455 FAX.03-5209-3453 E-mail: muramachitpp@gmail.com HP http://www.parc-jp.org/ Twitter:http://twitter.com/parc_jp ★STOP TPP!! TV も放送中! http://stoptpptv.blogspot.jp/ ●主催:STOP TPP!! 市民アクションとは? 2012年4月、「排外主義でないTPP反対」を共有する市民団体、生協、労働組合、 NGO/NPO等からなる、かつてない広がりをもったネットワーク(6月時点で約40団 体)。4月25日の「STOPTPP!! 1万人キャンドル集会」を国民会議等との団体と共 催。2012年6月には「STOP TPP!! 6月緊急アクション」を展開中。賛同団体・参 加団体を随時募集しています。 ★実行委員会団体・賛同団体一覧★ (50音順、6月6日現在37団体) アジア太平洋資料センター(PARC) アジア農民交流センター(AFEC) ATTAC Japan(首都圏) APLA(Alternative People’s Linkage in Asia) / あぷら 遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン エコ・コミュニケーションセンター(ECOM) 置賜百姓交流会 沖縄意見広告運動 国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会(全国食健連) 協同センター・労働情報 コモンズ政策研究機構 首都圏青年ユニオン 主婦連合会 新日本婦人の会 StopTPP 生活クラブ事業連合生活協同組合連合会(生活クラブ連合会) 生活クラブ共済事業連合生活協同組合連合会(生活クラブ共済連) 全国労働組合総連合(全労連) 全日本建設運輸連帯労働組合(連帯ユニオン) 全日本農民組合連合会(全日農) 全日本民主医療機関連合会(全日本民医連) 大地を守る会 脱WTO/FTA草の根キャンペーン 地球的課題の実験村 TPPって何? TPPに反対する人々の運動 東都生活協同組合(東都生協) 日本医療労働組合連合会(医労連) 日本国際ボランティアセンター(JVC) 日本消費者連盟(日消連) 農民運動全国連合会(農民連) パルシステム生活協同組合連合会 ピープルズ・プラン研究所(PP研) フォーラム平和・人権・環境 Project99% 北海道農民連盟(道農連) NPO法人AMネット 食の安全・監視市民委員会 連帯ユニオン関西地区生コン支部 【賛同団体】(五十音順、6月1日現在2団体) にいがた有機農業推進ネットワーク 上越有機農業研究会

Saturday, April 14, 2012

 

4月25日夜、日比谷や野音で、STOP TPP!! 1万人キャンドル集会

■■■
■ ーみんなの力でTPP参加を止めよう!-
  STOP TPP!! 1万人キャンドル集会          ■
  http://stoptppaction.blogspot.jp/       ■■■

★4.25 TPP反対市民アクション実行委員会からの参加・賛同のお願い★
                     
TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への参加を巡り、山場を迎えています。TPPは、私たちの暮らしの隅々や社会の基盤、国のカタチまでをも大きく変える危険性を持っています。TPP に参加すれば農業や漁業、労働や医療・保険など多くの分野で、「みんなが安心して暮らせない」状況が生まれてしまうと、私たちは懸念しています。
しかし4月末の野田首相の訪米時には正式な参加表明がなされるのではないかという予測もあります。十分な説明や議論もないまま国の重要な決定がなされてはたまりません。
私たち「4.25 TPP反対市民アクション実行委員会」は、「TPPを考える国民会議」その他のットワ-クと共に、野田首相の訪米直前に「1万人キャンドル集会」とデモを開催します。多くの市民・消費者団体、生協、NGO、労働組合、農民組合、農協まで、これまでにない幅広い団体や個人が集まって実施されます。みんなで日比谷野音に集まって、「ちょっと待って!TPP参加!」「暮らしを破壊するTPPへの参加反対!」「市民不在で参加を勝手に決めないで!」等々、みんなの思いをアピールしましょう!

【日程】2012年4月25日(水)
【会場】日比谷野外音楽堂
    http://hibiya-kokaido.com/yaon_flame.html
【プログラム】(予定)
■17:30~18:30  ★STOP TPP!! ライブ★
          有名ミュージシャンによるミニライブ(※詳細後日)
■18:30~19:30  ★STOP TPP!! 1万人キャンドル集会
          ・TPPの本質はこれだ! 鈴木宣弘さん(東京大学大学院)
          ・農民・被災地の漁民・医療・労働など各現場からの声
          ・海外からの連帯メッセージ
          ・集会宣言採択
■19:30~21:00頃 ★STOP TPP!! キャンドル・デモ★
          銀座コース予定(日比谷公園~東京駅手前の鍛冶橋駐車場)
          (国会請願コースも行なう可能性もあります)

【主催】
TPPを考える国民会議
STOP TPP!! 1万人キャンドル集会
4.25 TPP反対市民アクション実行委員会

<ご参加にあたって>
・参加費は無料です
・日比谷野外音楽堂内は火気厳禁でキャンドルが使えません。ペンライト等ご持参ください。デモではキャンドルの使用が可能です。看板、プラカード、バナー、バッジ、Tシャツ、被り物など思い思いの格好でデモを楽しみましょう。
・集会&デモについての詳細はウェブサイトにて随時UPします。
 http://stoptppaction.blogspot.jp/

■■■■
■ 4.25 TPP反対市民アクション実行委員会 賛同のお願い

「STOP TPP!! 1万人キャンドル集会」は、3団体の共催形式となっています。その一つである私たち「4.25 TPP反対市民アクション実行委員会」は、より多くの市民団体、NGOなどに賛同団体になっていただけるようお願いしています。賛同団体になっていただける場合は、ご連絡先を明記の上、下記口座に賛同金をお振込みください(1口3000円、何口でも)。賛同金は集会にかかる経費にあてさせていただきます。また賛同団体はウェブに団体名を掲載させていただきます(非公開を希望される場合はその旨お知らせください)。

★銀行名:ゆうちょ銀行
★口座名:TPP反対連絡会
★口座記号番号:00170ー4ー457096

<お問い合わせ>
4.25 TPP反対市民アクション実行委員会
〒101-0063 東京都千代田区神田淡路町1-7-11 東洋ビル3F
アジア太平洋資料センター(PARC)気付
TEL:03-5209-3455 FAX:03-5209-3453
E-mail:stoptppaction@gmail.com
http://stoptppaction.blogspot.jp/
twitter:@StopTPPaction

Tuesday, September 16, 2008

 

自由貿易は食料・環境危機を招く!(2)


自由貿易は食料・環境危機を招く!(2) 環境破壊を輸出するオーストラリアの自由貿易政策 アダム・ウォルフェンデン(オーストラリア)

 洞爺湖G8(先進国首脳会議)に向け市民組織「脱WTO/FTA草の根キャンペーン」が札幌で開いた国際シンポジウム報告第2回は、オーストラリアの市民組織「公正な貿易と投資のためのオーストラリア・ネットワーク」で活動するアダム・ウォルフェンデンさん。彼はオーストラリアは自国の環境を破壊しながら輸出で国を発展させ、そのことによって世界の環境を破壊していると指摘、そうしたやり方はすでに限界に来ていると警告した。(安藤丈将)


 みなさん、こんにちは。先住民アイヌの土地でお話しする機会をいただいたことを、光栄に思います。今日は食料と環境の危機が私たちに及ぼす影響についてお話したいと思います。オーストラリアでも食料・環境危機が人びとに大きな影響を及ぼしてきました。しかしながら、歴史を振り返ってみると、これは今に始まったことではありません。オーストラリア政府が新自由主義的政策への移行を進めるようになって、もう長い時間が経過しています。

◆環境破壊を輸出するオーストラリア

 オーストラリアは伝統的に貿易に依存してきました。オーストラリアは、羊毛を旧宗主国に輸出することで発展してきたので、その発展は「羊の背中」に乗ってやって来たと言われています。オーストラリアは採掘資源の輸出も盛んです。日本にも石炭などの鉱物資源を輸出しています。

 このようにオーストラリアは長い間資源に依存する形で発展してきました。しかしながら、このやり方は、資源をどんどん採掘して環境を破壊する、持続不可能な発展方式であることは明らかです。現在のオーストラリアで生産されている農産物の総量の2/3は、輸出向けです。輸出を進めれば進めるほど、水や土地といった国内の環境に負の影響を与えています。すなわち、環境の問題は、貿易や輸出に絡み合っているのです。

 最近政府が出した『環境白書』は、開墾が生態系を破壊してきたことを示しています。オーストラリアの真水の75%が農業に使用され、そのほとんどが輸出に回されています。こうした水への需要は、250万ヘクタールの農地が塩化してしまったことの主たる原因です。もし現在のような農業のやり方を続ければ、2050年には1700万ヘクタールの土地が塩害になると言われています。

 オーストラリアから各国への輸出は、世界の環境にも、市場にも、大きな影響を与えています。2005~06年に、オーストラリアは2億3300万トンの石炭を輸出しました。もしその石炭がすべて燃やされれば、5億5900万トンの二酸化炭素を生み出すことになります。オーストラリアが化石燃料を輸出することによる諸外国での温室効果ガスの排出量は、国内での排出量を超えています。したがって、オーストラリアは、国内だけでなく、燃料や食料の輸出を通して、国外においても環境問題を引き起こしていると言えるでしょう。

◆消え去る小規模農家

 食料危機は世界中で深刻な問題となっています。ところが、オーストラリア国内では、食料危機への危機感が高いとは言えません。そのような中で、オーストラリアの農業は、小規模から大規模農業へとシフトしています。大企業が農業経営に進出するにつれて、小農はますます端の方に追いやられてしまっています。

 農業の主体が小規模農家から大企業に代わっていく中で、大規模農家は国の貿易政策を自分たちに有利なように変更しています。食料の価格設定に関しても、少数の企業が強い影響力を及ぼすようになっています。

 オーストラリア小麦委員会は、影響力の強い団体です。この団体は、サダム・フセイン政権が自分たちの小麦を輸入してくれたことに対して、その報酬を支払ったと言われています。こうした大企業に支えられた組織が、価格決定に強い力を及ぼしています。

◆ 自由貿易イデオロギーの支配

 オーストラリアの前政権は、二国間の自由貿易交渉に熱心でした。すでに3カ国と協定を締結し、10カ国と交渉中です。現在ではケビン・ラッド政権に代わったものの、積極的に交渉を進めていることに変わりはありません。アジア各国とも、二国間交渉を進めています。シンガポール、タイ、中国、日本、マレーシア、韓国とは二国間協定を、ASEANとはニュージーランドを含めて三者間の交渉を進めています。

 二国間交渉では、オーストラリアは強気の立場を貫いています。農産物を海外に売り込むもうとして、強力なロビーイングをおこなっている人びとがいます。交渉相手国は自分たちで柔軟に輸入量を決めたいと考えていますが、それは自由貿易協定を続ける限り困難です。自由貿易協定のメカニズムをどうにかしていくことが、食料危機を解決するうえで重要であると考えます。

 日豪FTAは、様々な議論を呼んでいます。当初、オーストラリア政府は、この交渉には大して時間がかからないだろうと考えていました。しかしながら、交渉の中で、酪農、牛肉、米、砂糖などの産品をめぐって、調整が必要であることがわかりました。

 オーストラリア貿易産業省のサイモン・グリーンは、これまでWTOの場でやって来たように、自由貿易の推進というイデオロギーを、農業や食料においても浸透させようとしています。オーストラリアは、強い抵抗を受けているにもかかわらず、貿易交渉、特に輸出攻勢をおこなうことで、南の国への進出を進めています。

◆ 自分の生活を自ら決定する力を取り戻す

 こうしたイデオロギーを変えていく必要があります。人びとが生産のやり方や生産物の売り方を自分たちでコントロールしていくことが大切です。それを実現するための方法の一つとして、巨大アグリビジネスの力を減じて、農業を人びとの手に戻していかなくてはなりません。

 オーストラリアの農家は、長い間政府の補助金を受けて、大きくなってきました。ただ単に自分たちの農業生産を拡大するというのは、他の国で同じ仕事をしている人たちの仕事を奪ってしまうことを認識しなくてはなりません。

 2008年4月に出されたIAASTD(開発のための国際農業技術評価)の報告書では、食料生産は現在の工業化された農業によってではなく、地域に根差した小規模なものであるべきという提案がなされました。このレポートの評価は、57カ国に承認されましたが、アメリカ、カナダ、オーストラリアの三カ国が拒否しました。

 より自由な貿易、より自由な市場という考えを、食料生産にまで適用しようというのが、オーストラリア政府のもくろみです。このような自由市場を最高のものとするイデオロギーが現在支配的であり、それを如実に表しているのはG8であると言えます。それは、自由市場に任せておけば、多くの人びとの人生を豊かにし、多くの人びとに便益をもたらすという考え方です。

 私たちは貿易そのもの、経済の動きそのものに反対するのではありません。私たちが求めているのは、人びとが自分たちの生活や仕事に対するコントロールを取り戻すということなのです。
 

Monday, September 15, 2008

 

自由貿易は食料・環境危機を招く!札幌国際シンポジウム報告(1) 


自由貿易は食料・環境危機を招く!(1) 農民は生産にかかわる物事を決める権利を持っている カティン・カーサ(貧民連合、タイ)

グローバリゼーションが作り出す貧困や環境破壊に対峙して運動を進めている社会運動体「脱WTO/FTA草の根キャンペーン」(世話人・大野和興ほか)は、北海道・洞爺湖でG8(先進国首脳会議)が開かれる前夜の7月6日、札幌で国際シンポジウム「自由貿易は食料・環境危機を招く!」を開いた。タイ、オーストラリア、中国、インドの農民やNGO・市民活動家らがパネリストとして参加、それぞれの地域・国でいま何が起こっているかを報告した。以下その内容を紹介する。第1回は東北タイの農民で、貧民連合で活動するカティン・カーサさん。(安藤丈将)


みなさん、こんにちは。私はカティン・カーサと言います。私は農民で、タイの貧民連合の一員です。貧民連合は、グローバリゼーションとたたかう世界の農民運動にネットワークであるヴィア・カンペシーナ(農民の道)に加盟しています。貧民連合はタイの様々なグループから構成されています。私たちのメンバーの大半は、小規模農民です。小農たちは、自分で生計を立てる権利や何を作るかを決める権利を侵害されています。

◆自由貿易で苦しむタイの農民

タイの稲作農民は、1年間に2000万トンのコメを生産しています。そのうち、1100万トンが国内消費に向けられ、残りの900万トンが輸出されています。タイ政府はタイを「世界の台所」にするという目標を掲げてきました。そんなタイも、世界的な食料危機のあおりを受けています。米輸出国であるタイの国民は、世界の他の国の人びとと同じく、米の価格高騰に直面しています。

タイの農民は、困難な状況に置かれており、生計を立てることができません。タイは、中国とのFTA協定を結んでいます。FTAによって、中国産の安いニンニクが大量に輸入されるようになりました。このためにタイ国内のニンニク業者は生き残ることができず、政府はニンニクから他の作物への転作を農家に勧めています。政府は転作した農民に対しては最初の1~2年だけ補助金を支払いますが、それ以上は支払いをしないことにしています。

ニンニクから他の作物への転作を要求されても、長い間ニンニクを作って来た農家にとっては、技術的に容易なことではありません。また、他の作物もFTAの下に自由化されているので、これから何を作ればよいかを決めるのは難しいのです。それでは、村を出て出稼ぎをすればよいかというと、町での賃金も安くて、生計をまかなうには足りません。

こうした状況の中で、北部タイの農民は、政府に対して様々な抗議行動をおこなっています。米価が上がる一方で、農民の米販売価格は低い水準にとどまっているからです。もし新自由主義が本当によいものならば、タイの稲作農家は、もっと高い収入を得て、タイの消費者は、良質の食料を安価な価格で手に入れているはずです。実際には新自由主義の「見えざる手」によって、タイ政府は現在起きている問題を十分にコントロールできずにいます。

他方、ここ数年間、ゴム価格が高騰しています。かなり多くのタイの稲作農家が、水田をゴムのプランテーションに転換しています。それと同時に、農家は現在、いわゆる再生可能なエネルギー作物への転換も早いスピードで進めています。サトウキビ、キャッサバ、アブラヤシといった作物への転換です。タイ政府は、次の5年間で数百万ヘクタールのアブラヤシ園の造成を進める予定です。工業団地、石油化学工業の造成が目に見える形で進んでいます。水田をエネルギー作物や石油化学工場に転換にすることによって、米の生産量が低下するということが、タイのいくつかの地方で起きています。

◆自由貿易か、食料主権か?

こうした食料危機を解決するために、大国、WTO、IMF、世銀などは、もっと農業に投資をし、低開発国への食料援助を増やし、農業市場を自由化するという提言をしています。また、もっと集約的な生産に転換しようという議論もあります。これは、もっと工業型の、企業に依存した農業にしよう、より多くのGMOを使おう、より多くのエネルギーを使おう、ということを意味します。以上の考え方は、もっと深刻な食料危機をもたらすと思います。

ヴィア・カンペシーナは、世界の国々が貧しい人たちが十分な食料にアクセスできるようにするために、国内向けの生産を優先させるべきだと考えます。すなわち、食料生産の世界市場への依存を減らしていくべきです。

食料危機からの脱出とは、単に人びとが十分な食料を獲得することにとどまるものではありません。食料危機からの脱出には、食料生産者が自らの生産に関わる物事を決める権利を持つことを必要とするし、食料の分配や配分が公正な取引によっておこなわれなくてはなりません。私たちは正義に基づいた政策を進めるべきと考えます。このような政策によって、農民や消費者の権利を促進し、多国籍企業の支配を排除することができます。

農業生産に関して言えば、多様な作物を生産するようにすべきです。小規模の農家は、様々な作物を生産する農法を知っています。それによって、食事のバランスや市場における食料の余剰が確保されるでしょう。多国籍企業の影響力は、一定の制約を受けるべきです。主食を国際的に取引することは、最小限の数量の範囲内にとどまるべきです。

私たちヴィア・カンペシーナは、確信をもって言うことができます。小規模農家は、世界の食料需要を十分にまかなうことができるのです。小農民は食料危機を解決するうえで重要な位置を占めるべきです。今こそ食料主権を確立すべき時が来ています。

 

国際シンポ─自由貿易が食料・環境危機を招く!! in 札幌(予定)

国際シンポ─自由貿易が食料・環境危機を招く!!(予定)

 食料危機が広がり、世界各地で食をめぐる紛争がおこり、人々の不安が高まっています。食料の高騰は経済的弱者を遅い、飢餓と貧困の一層の拡大を招いています。日本でも食品価格の高騰が、人々の暮らしを圧迫しています。7月に日本で行なわれるG8サミットでも急きょ食料問題が重要議題として登場してきました。しかし、そこでの議論は食料危機の根底にあるグローバル化がもたらした農民の農業の破綻という根本問題には目もくれず、資本の導入による農業の生産性向上や自由貿易の推進による市場原理の徹底といったところに落ち着くのは目にみえています。

わたしたちは、いま起こっている食料危機の真の原因を明らかにし、いま何をしなければならないかを問いかけたいと思います。サミットに向け、わたしたちの声をぶつけるこのシンポジウムにぜひご参加ください。

日時 7月6日(日)12:30~17:00

場所 札幌エルプラザ環境研修室(札幌駅北口)

     ●基調提起「食料危機はなぜ起きたのか─G8が進める自由貿易の問題点」

      山浦康明(日本消費者連盟副代表運営委員)

    ●オーストラリア「自由貿易と環境問題」

アダム・ウォルフェンデ      アダム・ウオルフェンデン(公正な貿易と投資のためのオーストラリア・ネットワーク)

●タイ「タイ農業の状況と自由化」

ポンティップ・サムランジット(農村行動ネットワーク)

●フィリピン「フィリピンの状況と自由化」

ジョセフ・プルガナン(フォーカス・オン・ザ・グローバル・サウス)

●韓国「韓国農業の現状と自由化」

(韓国・全国農民会総連盟代表-予定)

●インドネシア「インドネシア農民の現状」

インドラ・ルビス(ビアカンペシーナ・アジア担当コーディネーター)

●日本「北海道農業の現状と自由化」

白川祥二(北海道農民連盟書記長)

参加費 800円

連絡先 フォーラム平和・人権・環境 市村(電03-5289-8222 E-mailichimura@gensuikin.org


 

G8サミット直前東京行動分科会 自由貿易が食料危機を招く !!

G8サミット直前東京行動分科会

自由貿易が食料危機を招く

食料危機が広がり、世界各地で食をめぐる紛争がおこり、人々の不安が高まっています。食料の高騰は経済的弱者を遅い、飢餓と貧困の一層の拡大を招いています。日本でも食品価格の高騰が、人々の暮らしを圧迫しています。7月に日本で行なわれるG8サミットでも急きょ食料問題が重要議題として登場してきました。しかし、そこでの議論は食料危機の根底にあるグローバル化がもたらした農民の農業の破綻という根本問題には目もくれず、資本の導入による農業の生産性向上や自由貿易の推進による市場原理の徹底といったところに落ち着くのは目にみえています。

わたしたちは、いま起こっている食料危機の真の原因を明らかにし、いま何をしなければならないかを問いかけたいと思います。サミットに向け、わたしたちの声をぶつけるこのシンポジウムにぜひご参加ください。

日 時 6月28日(土)14:00~17:00

場 所 東京都文京区春日295「アカデミー茗台学習室B」(TEL0338178306

(地下鉄丸の内線「茗荷谷駅」下車 春日通りを後楽園方面に徒歩7分)

内 容 ●食料危機はなぜ起きたのか─G8が進める自由貿易の問題点

山浦康明(日本消費者連盟)

●世界を駆けめぐる投機マネーが引き起こす食料危機

秋本陽子(ATTAC Japan)

●アメリカのバイオ燃料と遺伝子組み換え戦略

天笠啓祐(市民バイオテクノロジー情報室)

●破綻した日本の農業・食料政策

大野和興(農業ジャーナリスト)

●全体討論

◆司会 市村忠文(平和フォーラム)

参加費 500円(同日18時からの全体会と合わせた前売り券を1000円で取扱中)

連絡先 フォーラム平和・人権・環境 市村(電03-5289-8222 E-mailichimura@gensuikin.org


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