Saturday, April 22, 2006

 

「WTOは混沌状態、運動は成果をを上げているぞ」
=WTO市民連絡会が外務省と意見交換= 

WTO市民連絡会は4月14日、外務省担当課長などと、WTO交渉の全般的状況とサービス分野等の課題についての意見交換を行った。これは、4月末に農業分野などで交渉の大枠を決めるモダリティをまとめることが予定されていることから、行われたもの。外務省国際貿易課長などは、交渉状況として、農業の市場アクセス(関税削減等)、国内支持(農業補助金削減)、非農産品市場アクセス(鉱工業品関税削減)の3つの論点で膠着状態にあることから、「4月末でのモダリティ決着は難しい」との見方を示した。

 今後については、アメリカの中間選挙(11月)や大統領貿易促進権限の失効期限(07年7月)などをにらんだ期限の設定がされる見通しだが、長期交渉になることも予想されている。

 サービス分野の交渉では、香港会議で複数国間交渉の共同リクエスト方式(プルリ交渉)が合意されたが、これによってサービス分野で立ち遅れている途上国ではサービス産業を育成することができず、また貧困層にサービスが行き届かなくなることや、日本でもサービスの自由化が市民へのメリット・デメリットを明らかにすることなどを求めた。

 外務省サービス貿易室長からは、「サービス貿易自由化は参入者に対する内外の差別を無くすことであって、規制の緩和をすることではない。自由化に対する規律は各国が決めるべきこと」とし、「日本はほとんどの分野の自由化がされているが、水道などの公共サービスの自由化は認めないので、国民生活への影響はないと思う」と述べた。また、「集団交渉方式は問題点が整理されることから、途上国も参加しやすくなる。外資の投資制限は途上国にとっても不利なこと」などと、自由化推進を強調した。

 なお、日本が他国に要求している交渉分野としては、建設、海運、電気通信、郵便、音響・映像、金融など15分野にわたり、逆に要求を受けている分野では、航空、越境取引、教育、農業関連サービス、人の移動の5分野となっている。

 途上国開発問題でも討論され、日本政府が進める「開発パッケージ」は、後発途上国(LDC)については香港でまとまったとし、夏頃までにそれ以外の途上国全般の対応をまとめるとした。従来のODAとの違いとして、「途上国が輸出できるものを作るための援助」の概念を強く打ち出した。

 しかし、こうした交渉が市民の知らないところで進められていることは大きな問題であり、今後とも意見交換を続けていくことが重要になっている。

(平和フォーラム 市村忠文記)

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